最近流行りのオールドデジカメ、いわゆる昔のデジカメの事ですが
今これがスマホにはない写真が撮れるという事で流行っています。
このオールドデジカメが家で使っていないものが出てきたり、フリマなどで
手に入れた場合、色々な注意点があります。
買ったは良いけど使えない…なんてことになる前にお話ししておきましょう。
オールドデジカメの定義
そもそも、このオールドデジカメと言われるものの定義に関してですが
『2000年前半以前』もしくは『500万画素以下』のデジタルカメラと言われているようです。
デジタルカメラの始祖がカシオのQV-10(1995年発売)と言われていますので
2000年前半と言うのを2004年として考えても、実にデジタルカメラ発売から10年程度…
今のミラーレス一眼カメラのご先祖様である、デジタル一眼レフが一般的に普及
し始めようかと言う時代の事です。
この時代はデジタル一眼レフも買い求めやすい価格を目指していた頃ですが
やはりデジタルカメラの主流はコンパクトカメラと言われていました。
今では当たり前の携帯電話にカメラが搭載されたのが、1999年…
撮影した写真を他人に送ることができるようになったのが、2002年の頃と言われています。
写真と言えば、デジタルカメラだった時代の話です。
そう考えると2000年前半以前と言われるといささか、乱暴な気もしますが
デジタルカメラの興亡が20年程度だと考えれば、1995年から2015年となり
前半の10年(1995-2005)をもって、時代を分けるのであればそうなのかも知れません。
記録媒体の推移
デジタルカメラを語る上で重要になってくるのがメモリーカードの存在です。
デジタルカメラとメモリカードは表裏一体、相互に進化を遂げていきました。
それまで個人用の記録媒体と言われたら、フロッピーディスク(FD)・CD-Rが主流でした。
当時はCD-Rも出始めたばかりで、書き込み用のドライブやメディアも高い時代でした。
書き手はこの頃、高校生でありCD-Rドライブを持っている友人などは、CDのコピーで
持て囃された時代でした。(今思えば、ずっと緩やかな時代です)
なんと、FDを記憶媒体として用いたデジタルカメラも存在したのですが、これは例外として
カメラを小さくするには、専用のメディアが必要とされました。
このコラムを書いている2024年時点ではmicroSDカードに2TBもの容量を詰め込める時代になりましたが
当時は、そんな容量を当時での小さなメディアに詰め込むことも技術的にできず
それほどの容量が必要なデータも民間レベルでは存在しませんでした。
ちなみに、音楽CDの記録容量が現在700MBであり、黎明期はCD-Rは640MBでした。
非正規品で容量を増やしたものもありましたが、この時代は技術の進歩も日進月歩で
規制も緩く、試行錯誤の時代だったと言えるでしょう。
その中で、デジタルカメラのメディアは生まれました。
発売当初のデジタルカメラは今のカメラやスマホのように小さくはありませんでしたが
行く行くは手のひらに収まる、ポケットに収まるようなカメラにするために
記録する媒体の小型化も必然的に望まれる形となりました。
登場しては消えていったメディアを見ていきましょう。
※後述のメディアの使用メーカーは主だったものであり、例外もあります。
・スマートメディア(SM)
最初期の記録媒体です。
初期型と後期型がありますが、ここでは割愛します。
記憶容量は2MB~128MBが一般向けに発売されていました。
大きさは45mm×37mmでパスポートやマイナンバーの写真とほぼ同等の大きさです。
非常に薄く、端子面が大きく露出しているので、物理的・電気的にも耐久力は低い。
特にこのメディアが使用されていた時代は今のようにデジタルメディアに対する認知度も高くなく
取扱いのミスなどで記録データの消失はよく起きた。
使用していたメーカーはFUJIFILM・OLYMPUS・SANYO・RICOH・CASIOあたりである。
・コンパクトフラッシュ(CF)
最初期の記録媒体です。
2024年現在でも使用している機種が現存しています。(Canon EOS 5D Mark.4)
パソコンのHDDの流れを汲む記録媒体であり、CFカードはIDE規格の互換です。
後のCFastやCFexpressはSATAの仲間です。
容量は2MB~512GBまでが確認されています。(※1GB=1024MB)
大きさは42.8mm×36.4mm×3.3mmと厚さがあり、メモリ部分は丈夫な殻に覆われて
物理的な強度が高く、メモリ以外の色々な用途の機器にも採用されました。
PC規格が発祥であり、親和性の高さから、PC関連の部品も多く採用されています。
デジタルカメラメディアとしては、頑丈ではあるが、その大きさからカメラの小型化には
向かず、コンパクトカメラでの主流メディアの地位は後述のSDカードに譲り
デジタル一眼レフカメラのメモリーカードとして長く使用されていました。
これは以後のCFastやXQD/CFexpressへと引き継がれています。
使用していたメーカーはCanon・Nikon・MINOLTA・Konica・Kodakなど。
・SDカード(SD/SDHC/SDXC)
現在最も使用されているメモリカードの規格である。
デジタルカメラだけに及ばず、外部溶離記録メディアを挿入するものは
そのほとんどがこのSD規格に属するものであると言っても過言ではないだろう。
松下電器・東芝・サンディスクによって共同開発されたメディアであり、1999年より
規格として制定されており、歴史は意外に長いものである。
デジタルカメラの誕生が1995年であるから、いかにデジタルカメラの進化が
目ざましかったかが窺がえるというものである。
記憶容量による規格と大きさによる規格があり、種類も様々である。
物理的な大きさの規格を除けば、見た目はほとんど一緒であり、ラベルがはがれてしまうと
外側から規格を判別するのは非常に難しい。
また、物理的な大きさが同じで、容量による規格が違う場合は、機器への挿入は可能であるが
認識されないという事態が発生し、オールドデジカメを使用するうえでは鬼門である。
なお、SD規格は2GBまで(4GBの規格外も存在した)、SDHC規格は4GB~32GBまで、SDXCは64GB以上と
なっている。
物理的な大きさの規格としては、通常サイズ(32mm×24mm)、miniSD(21.5mm×20mm)、microSD(15mm×11mm)の3種類に分かれる。
デジタルカメラでは、通常サイズが一般的に使用されるが、一部の機種はmicroSDが使用されている機種もある。
いわゆるガラケーは過渡期としてminiSDが使用されている機種もあった。
使用していメーカーは、ほぼ全てのカメラを製造しているメーカーと言ってもよい。
・xDピクチャーカード(xD)
スマートメディアを使用していたFUJIFILM・OLYMPUSが共同開発したメモリーカードである。
スマートメディアでは大きさ、記憶容量の面から限界があるため、SDカードに対抗するべく
当時シェアを大きく占めていた2メーカーが開発した新規格である。
SDカードより小さく、容量の問題も解決したのだが、その頃色々なカメラ以外の機器にも対応していたSDカードに対して、カメラにしか使用されない規格(著作権保護機能の都合上)として普及はできなかった。
なお、同じxDカードでも無印・TypeM(TypeM+)・TypeHと3種類の規格があり、容量は16MB~2GBとなる。
これもオールドデジカメを使用する上で鬼門になりがちなのだが、xDカードに対応しているカメラで後期の物はSDカードにも対応しているのである意味安心できる。
また、OLYMPUSのカメラの中には専用のアダプターを使用できる機種ではmicroSDが使用できる。
しかし、2002年以後2007年ごろまでのデジカメには注意が必要である。
オールドデジカメを楽しむための注意点
オールドデジカメを楽しむうえで注意する点は長々と説明していたメモリーカードの問題以外にもある。
動力としては当然として電気で動くのだが、供給方法は2種類。
乾電池型バッテリーを使用するもの、専用バッテリーを使用するものである。
乾電池型バッテリーとは、単三電池・単四電池・CR123A・CR2と言ったところだろうか。
これらは2024年でも普通に入手が可能なアルカリもしくは、リチウムの電池である。
マンガン電池もいくらか現存しているが、これらはデジタルカメラの消費電力の都合上、正常な使用は難しいため、使用に適さない。
また、単三電池/単四電池型のニッケル水素充電池も使用可能である。
これらの機種は特に問題なく使用でき、安価に新品の電池の確保も可能である。
問題なのが、専用電池(バッテリー)を使用する機種である。
これらはりリウムイオンバッテリーを使用しており、繰り返し充電して使用可能ではあるが
デジカメの進化の上で、メモリーカードと同様もしくは、それ以上の変遷を遂げており、オールドデジカメと言われる機種のバッテリーは大概が絶版ないしは、入手困難と言ってもいいだろう。
もし、付属していたとしても著しく性能が低下している場合が多い。
これは、古い携帯電話のバッテリーのヘリが非常に早いのと同じである。
この場合、せっかく入手したデジカメが満足に使用できないという事態も往々にして発生する。
これから、購入を検討してる場合はメモリカードと電池には注意が必要である。
このあたりは、ネット上の知識だけではなく、当時を知る人や専門店で尋ねれば失敗も少ないだろう。
更にオールドデジカメを楽しむには?
最近のデジタルカメラにはWi-Fiを搭載して、スマホへ撮影した写真を転送できるデジカメも多くあり、写真をプリントとして出力する機会の減った現在では、必要な機能と言える。
ただし、オールドデジカメの全盛期はまだスマホもなかったし、SNSも発達していなかった。
写真は紙にプリントして楽しむか、パソコンで保存するのが当たり前の時代であったのである。
Wi-Fiと言う概念すら存在していなかった時代であるので、もちろんそのような機能は搭載していない。
では、どのようにしてスマホに転送するのか?
この場合、パソコンに転送してスマホと同期/転送する方法、またはスマホにカードリーダーを取り付ける方法である。
前者の場合は、パソコンにカードリーダーを取り付け、その後スマホを直つなげして転送するか、インターネットを使って転送するかである。
後者の場合は、Androidとiphoneで多少異なるが、microUSB/TYPE-CまたはLightning規格のカードリーダーをスマホに装着してメモリカードを挿して読み込む方法である。
基本はSDカードからの転送になるかとは思うが、他の規格のメモリーカードである場合は要注意である。
写真の保存、補正、共有がスマホがメインになった今では、スマホとの連携は避けれないだろうから、この部分にも注意しておけば、オールドデジカメを十分に遊べると思う。
終わりに…
フィルムカメラ、オールドデジカメ共に時代を順に辿っているのであれば、今まで通ってきた道、知識も経験も十分にあると言えるだろうが、流行は時代を逆に辿ってきていると言えるだろう。
その時に、それらを知っており、経験が豊富で、必要な機器の取り揃えがある、専門店と言うのは良きプレイングスタッフとなるのではないでしょうか?
手に入れたけど、使えなくておしまいになる前に一度ご相談ください。