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双眼鏡の選び方

コロナ禍により、旅行やコンサートなどのイベントで双眼鏡を必要とする場面は減ってしましました。

ところで、双眼鏡を使う場面はなくなってしまったのでしょうか?

いえ、コロナ禍だからこそ個人的な趣味として双眼鏡が必要とされています。

ひとえに双眼鏡と言っても、何を選べばいいのか?

まずは、双眼鏡にも種類があるところからみていきましょう。

ポロプリズム式

伝統的なフォルムの双眼鏡で形は大きくなりますが、光学的に優れた設計です。

形状から対物レンズ(前側のレンズ)を大きく、幅を広くすることが可能なので、見える像の立体感が増します。

ダハプリズム式

対物レンズと接眼レンズが直線状に配列されているので、コンパクトです。

精度の高い設計が必要になるので、価格が高くなる傾向があります。

コンパクトさと見えやすさのトレードオフと言いたいところですが、とりあえず持ち歩きで双眼鏡が欲しい方は、ダハ式がオススメです。

ポロ式の良さが活きてくるのは、大口径になるのでそもそもコンパクトさとは縁が遠くなります。

野鳥の観察や天体の観測など、性能を追求される方がポロ式を必要とする傾向がありますので、旅行やコンサートなど、大きく見えることが目的の場合は、持ち運びが楽なダハ式でしょう。


倍率のお話し

時折、新聞広告やインターネットショッピングで100倍ズームで手のひらサイズ!

みたいな双眼鏡が出ていることがあります。

都合により色々とぼかしています。

100倍と言わず、半分の50倍ズームであっても正直オススメしません

こんなこと言っちゃうと、そういう業者さんから抗議のメールを頂きそうですが…

一般的に使いやすい双眼鏡は10倍前後の倍率のものです。

何故かというと、10倍を例にすると、10m先の物が1m先ぐらいの距離感と大きさで見えると言う事になります。

ここで100倍双眼鏡だと、10m先の物が10cm先の距離感と言う事になります、これはちょっと大きすぎて何を見ているか分かりませんね。

もちろん、10mどころか100mや1km先を大きく見たい人もいるでしょうから、絶対に役に立つところがないとは言えません。ですが、そのような人たちはもっと使いやすいフィールドスコープや望遠鏡を買うでしょう。

何故かって? 遠くを観察する人は手に持って見るのがどれだけ辛くて大変かを知っているからです。

手で持っていたら筋肉の些細な動きで双眼鏡がブレてしまいます。誰も息を止めてぶれないように我慢してまで見たいとは思わないでしょう。きっと、そういう場合は三脚を使います。

三脚を用意してみる場合には、コンパクトさは関係なくなりますので、双眼鏡自体が大きくて問題はありません。別に手のひらサイズでなくてもいいわけです。

倍率が大きすぎる場合の短所は、大きすぎるとかブレやすいだけではなく、像が暗くなる、像がぼやけるなど多岐にわたります。ですので、よほど大きく見ることのメリットが勝らなければ極端な倍率の双眼鏡は必要ないのです。

倍率100倍でコンパクトな双眼鏡が超特価! と言う謳い文句に踊らされないように気をつけましょう。


双眼鏡のスペックの見方

倍率が絶対の条件ではないことは先の項目でお話ししました。

では、倍率が10倍前後の双眼鏡で選ぶとして、他にどんな性能で区別すればよいのでしょうか?

それを見ていきましょう。

  1. 対物レンズ有効径
    双眼鏡は対象から反射した光を見るための物です。
    この場合、反射している光(対象物)が一眼最初に通るレンズが対物レンズです。
    このレンズの口径が大きい方がより多くの光を取り入れ、明るさや像の解像度などに影響を及ぼします。ただし大きくなると高価で重たくなるのが難点です。
  2. 最短合焦距離
    どれぐらい離れないときちんとした像を結ばないか…を指す数値です。
    双眼鏡は遠くを見るための道具ですが、この数字が小さいと近くの物でも大きく見ることができます。
  3. 実視界
    双眼鏡からどれぐらいの角度で見えているかを指す数値です。
    基本的には倍率が大きくなるほど、見えている視野角は狭くなっていきます。
    スポーツ観戦などでは、視界が広いほど広い範囲を見渡せるので重宝します。
    一般的な人間の視野角は左右の目で水平120度程度あるとの事です、広いですね。
  4. ひとみ径
    接眼レンズから30cm離れたところから、接眼レンズを見たときに見える明るい円の直径を指します。この円の直径が大きいと視界が明るく、暗い場所で有利になります。
    算出式は、対物レンズ有効径÷倍率となります。
    一般的に、人のひとみ径は明るい場所で2~3mm程度、暗所では7mm程度と言われています。
    万全を期す場合にはひとみ径が7mm以上の物にすると良いですが、双眼鏡自体が大きく、倍率は小さくなりますので、絶対的なものではありません。
    見る対象が明るい時間帯のものなのか、暗い時間のものなのかで考慮する順位が変わります。
  5. 明るさ
    ひとみ径の2乗で表されます、値が大きいほど明るいと言えますが理論値ですので、使用されているレンズの枚数やコーティングなどによって左右されます。
  6. アイレリーフ
    接眼レンズの最終面から焦点を結ぶまでの距離を指します。
    この距離からのぞくと、全視野を観察することができます。
    アイレリーフが短いと、メガネをかけている人は視野が欠けてしまいますので、アイレリーフの長い双眼鏡を選ぶと良いでしょう。
  7. 防水性能
    雨天の使用、滝などの水辺での使用、海での使用など双眼鏡は野外で使用することが多いため水分が中に入り込んでしまう可能性が高い機器です。
    これはレンズの曇りやカビの発生などマイナスにしかなりませんので、防水が施されているに越したことはありません。
    また、防滴と防水があり、防水は窒素ガスを充填してあり防水性能を高めているのが特徴です。
  8. 防振機能
    双眼鏡の中には手振れ補正機能を搭載したものも存在しています。
    筐体に対してレンズ口径が小さくなってしまったり、逆に防振ユニットのせいで本体が大きくなる場合もありますが、船の上など足場の安定しない場所での観察にはあると便利です。
    ただし、電動なので電池切れに注意する必要があります。

双眼鏡を選ぶのって結局どうなの?

双眼鏡初心者の方が陥りやすい倍率の罠に関しては前項でお話しました。
双眼鏡に書かれている色々な性能に関してもお話ししました。
では、結局どんな双眼鏡が良いのでしょうか?
結論から言うと、見る状況に応じて変わると言う事になります。

有利な状況と不利な状況に分かれており、明け方や暮れ、屋内などの暗い状況であれば、対物レンズ口径を大きく、倍率を小さく、明るい双眼鏡を選ぶ必要があるでしょう。
必然的に形は大きく、重量は重たくなる傾向にあります。

旅行に持参するようなカジュアルな使い方であれば、持ち運びのしやすさを重視して、倍率が6~10倍程度、対物レンズ口径は21~25mm程度のダハ型の双眼鏡などは使いやすいと思います。

コンサートや舞台など、屋外で使用する場合は倍率は6~10倍程度、対物レンズ口径は30mm以上で持ち運びに困らないものを選ぶと良いでしょう。

自然観察や星空の観察を行う場合には、じっくり時間をかけることができると思いますので、倍率は自然観察の場合は10倍前後、星空観察の場合は2か3倍程度、対物レンズ口径は40mm以上を想定すると良いと思われます、あと三脚ユニットもあると尚良いと思います。

カメラのワタナベでは初めての方でも中級者の方でも使いやすい双眼鏡を多数そろえています。
もちろん、上級者向けの本格的な双眼鏡もお試しいただけますので、是非ご相談ください。
皆様のご来店をお待ちしております。